制度比較

教育訓練給付金、退職後にもらえる人ともらえない人

「退職を機にスキルアップしたい」「資格取得・再就職のために学び直したい」──そんなときに利用したいのが教育訓練給付金です。受講費用の一部を国が負担してくれる制度ですが、対象になる人・ならない人の条件は意外と複雑。本記事では、教育訓練給付金の3区分・支給率・受給条件・退職後の利用可否を、退職給付金 比較メディア編集部が分かりやすく整理しました。

1. 教育訓練給付金とは

教育訓練給付金は、働く方の主体的なキャリア形成を支援するため、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合に、受講費用の一部が雇用保険から支給される制度です。

専門学校・通信講座・eラーニング・スクール等、対象となる講座は多岐にわたります。語学・IT・医療・介護・士業・経営など、幅広い分野に対応しています。

2. 3つの区分:一般/特定一般/専門実践

教育訓練給付金は、講座のレベル・必要性により3つの区分に分かれており、支給率と上限額が異なります。

区分支給率支給上限主な対象講座
一般教育訓練給付受講費用の20%10万円事務系・趣味系の資格・スキルアップ講座
特定一般教育訓練給付受講費用の40%20万円速やかな再就職・キャリア形成に資する講座
専門実践教育訓練給付受講費用の50〜70%年間40〜56万円看護師・介護福祉士・MBA・専門職大学等

専門実践は給付率が最も高い。専門実践教育訓練給付は、最大で受講費用の70%まで支給される、最も給付率が高い区分です。看護師・介護福祉士・社会福祉士・公認会計士などの専門資格取得や、専門職大学院での学位取得が対象になります。「資格を取得して安定した再就職を目指したい」方にとって、活用価値の高い制度です。

3. 各区分の受給対象条件(雇用保険被保険者期間)

教育訓練給付金を受給するには、一定期間以上の雇用保険被保険者期間が必要です。

区分初めて受給する場合2回目以降
一般教育訓練給付1年以上3年以上(前回受給から3年以上経過)
特定一般教育訓練給付1年以上3年以上(前回受給から3年以上経過)
専門実践教育訓練給付2年以上3年以上(前回受給から3年以上経過)

雇用保険被保険者期間は、複数の会社で働いた期間を合算できる場合があります(離職から1年以内の再就職等の条件あり)。

4. 退職後でも教育訓練給付金は受給できる?

結論:離職から1年以内であれば受給可能です。

具体的には、受講開始日が「離職日翌日から1年以内」であれば、退職後でも教育訓練給付金を申請できます(受給期間延長を受けた場合は最大20年まで延長可)。

退職後の活用パターン

  • 失業給付を受給しながら、教育訓練給付金で講座費用を補助
  • 専門実践教育訓練の場合、教育訓練支援給付金(要件あり)を併用できる場合あり
  • 公共職業訓練(ハローワーク指示)とは別制度なので、ニーズに応じて使い分け

💡 受給期間延長との関係:病気・ケガ・妊娠・出産・育児・介護等で受講できない期間があった場合は、受給期間延長申請(最大20年)が可能です。離職から1年を過ぎても、延長申請で対応できる場合があります。

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5. 対象講座の探し方

教育訓練給付金の対象になる講座は、厚生労働大臣が指定した講座のみです。市販のあらゆる講座が対象になるわけではないため、必ず事前確認が必要です。

確認方法

  • 厚生労働省「教育訓練給付制度 検索システム」で講座名・地域・分野から検索
  • ハローワークで対象講座の一覧を確認
  • 講座提供事業者の案内に「教育訓練給付制度対象」と明記されているかをチェック

人気の対象分野

  • 士業系:社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士
  • IT系:プログラミング・データサイエンス・クラウド
  • 医療・介護:看護師・介護福祉士・ケアマネジャー
  • 語学:TOEIC・英検・通訳
  • 会計・財務:簿記・FP・公認会計士

6. 申請手続きの流れ

受講前の手続き(特定一般・専門実践)

  1. ハローワークで「ジョブ・カード」を作成し、訓練前キャリアコンサルティングを受ける
  2. 「受給資格確認票」を提出(受講開始日の1ヶ月前まで)
  3. 受給資格決定の通知を受け取る
  4. 講座を受講開始

受講中・修了後の手続き

  1. 講座を一定の出席率・成績で修了
  2. 受講修了から1ヶ月以内(一般)または6ヶ月ごと(専門実践)にハローワークで給付金申請
  3. 受講料の領収書・修了証明書等を提出
  4. 給付金が指定口座に振り込まれる

7. 公共職業訓練 vs 教育訓練給付金の使い分け

項目公共職業訓練教育訓練給付金
運営ハローワーク指示・国の機関民間講座も多数(指定講座のみ)
受講料原則無料自費受講・後日一部還付
給付の効果失業給付の延長+手当受講料の20〜70%還付
選択の自由度提供されるコースから選択豊富な指定講座から自由選択

収入が逼迫している方は公共職業訓練、自分の興味・キャリアに合う講座を選びたい方は教育訓練給付金、というすみ分けが基本です。

8. よくある勘違い

勘違い①:「どんな講座でも対象になる」

対象は厚生労働大臣が指定した講座のみ。事前に検索システムで確認しないと、受講した後に「対象外でした」となるケースがあります。

勘違い②:「退職したら教育訓練給付金はもらえない」

離職から1年以内(受給期間延長すれば最大20年)の受講開始であれば、退職後も受給可能です。むしろ退職後の学び直しに最適な制度の一つです。

勘違い③:「教育訓練給付金と失業給付は併用できない」

両者は別の制度なので併用に問題はありません。失業給付を受給しながら、教育訓練給付金で講座費用を補助できます。専門実践教育訓練の場合は、追加で「教育訓練支援給付金」(受講中の生活支援)の対象になることもあります。

9. 自分のケースが分からないとき

相談先得意領域費用
ハローワーク受給資格確認・対象講座の検索支援無料
講座提供事業者対象講座の選定・申込み案内無料
厚生労働省 教育訓練給付制度コールセンター制度全般の問い合わせ無料
退職給付金サポートサービス失業給付+教育訓練給付の横断整理サービスにより異なる

まとめ:退職後の学び直しを後押しする制度

  • 教育訓練給付金は3区分:一般(20%)/特定一般(40%)/専門実践(50〜70%)
  • 初めての受給は雇用保険被保険者期間1年以上(専門実践は2年以上)
  • 退職後も離職から1年以内の受講開始なら受給可能
  • 対象講座は厚生労働大臣指定のもの限定、事前確認必須
  • 特定一般・専門実践は受講開始前にハローワークでの受給資格確認が必要

13. 実例:宅地建物取引士講座を受講するケース

退職後に宅地建物取引士(宅建)の資格取得を目指して、教育訓練給付制度を利用するケースを見てみましょう。

  1. 離職票を受け取り、ハローワークで失業給付の手続き
  2. 厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムで、対象の宅建講座を検索
  3. 講座費用:通信講座10万円(一般教育訓練給付対象)
  4. 講座を受講・修了試験合格
  5. 修了後1ヶ月以内にハローワークで給付金申請
  6. 受講費用の20%=2万円が指定口座に振り込み

もし対象が特定一般教育訓練給付に該当する講座なら40%=4万円、専門実践教育訓練給付なら最大70%=7万円が支給される計算です。

10. 専門実践教育訓練給付の手厚さ

3区分のなかでも、専門実践教育訓練給付は特に手厚い制度です。具体的な仕組みを整理します。

支給率の段階アップ

  • 受講中:受講費用の50%(年間上限40万円)
  • 修了後、資格取得+就職等で:追加で20%(合計70%、年間上限56万円)
  • 長期講座(複数年)の場合は最大3年間の支給対象

教育訓練支援給付金(45歳未満)

45歳未満で離職した方が専門実践教育訓練を受講中、雇用保険の基本手当(失業給付)に相当する給付金が受講中の生活費として支給されます。基本手当日額の80%相当。

看護師・介護福祉士を目指すなら活用必須。看護師・介護福祉士・社会福祉士などの国家資格取得には2〜3年の養成課程が必要で、学費も数百万円かかります。専門実践教育訓練給付+教育訓練支援給付金を併用すれば、学費の最大70%+受講中の生活費の双方が支援される、極めて強力な制度です。

11. 退職前の今、こんな講座をチェック

退職を検討中・退職直後の方が、特にチェックすべき講座分野を紹介します。

  • 転職市場で評価される国家資格:宅建士・社労士・行政書士・FP
  • IT・データ系:プログラミング・データ分析・クラウド(AWS等)
  • 医療・介護:看護師・介護福祉士・登録販売者
  • 独立・副業向け:Webデザイン・動画編集・ライティング

対象講座の有無は厚生労働省「教育訓練給付制度検索システム」で確認できます。退職後すぐにスタートできるよう、退職前から候補をリストアップしておくのが理想です。

12. 受講前に必ず押さえる3つのポイント

ポイント①:講座の総額を必ず事前確認

給付率(20〜70%)が適用されるのは受講料の本体部分。教材費・試験料・入学金等は対象外のケースがあります。事前に「給付対象になる金額」を講座提供事業者に確認しましょう。

ポイント②:修了要件をクリアできるか冷静に判断

一定の出席率・成績・課題提出が修了要件。途中で挫折すると給付金は受けられません。仕事や育児と両立できる時間配分かを慎重に検討してから受講開始を。

ポイント③:受講前のキャリアコンサルティング(専門実践)

専門実践教育訓練給付では、受講前にハローワークで「訓練前キャリアコンサルティング」を受けることが必須。ジョブ・カードの作成も必要です。受講開始の1ヶ月前までに完了させてください。

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※ 本記事は一般的な解説であり、個別の受給可否・金額・手続きの判断を保証するものではありません。具体的な判断については、ハローワーク・年金事務所・税理士・社会保険労務士等の有資格専門家にご確認ください。記載内容は2026年6月時点の制度に基づきます。

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