制度比較

育児休業給付金、退職予定でも受給できる?

育児休業中の収入を支える育児休業給付金。「育休中だけど、復帰せず退職する予定」「保活が難航して仕事復帰が難しそう」──そんな状況で、給付金がどうなるのか不安な方は少なくありません。本記事では、退職予定の方が育児休業給付金を受給できる条件、受給後の退職が許されるケース、復帰後すぐ退職した場合の扱いを、退職給付金 比較メディア編集部が整理しました。育休は本来「復帰前提」の制度であることを踏まえつつ、ご自身のケースを正しく整理するための情報をお届けします。

1. 育児休業給付金とは

育児休業給付金は、子どもの養育のため育児休業を取得する雇用保険被保険者を対象とする給付金です。休業開始から180日目までは賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。

受給期間は原則として子どもが1歳になるまで(最長2歳までの延長制度あり)。父母の双方が育休を取得する場合の「パパ・ママ育休プラス」など、複数の制度バリエーションがあります。

2. 「退職予定でも受給できる?」結論

結論を整理すると:

⚠️ 「最初から退職予定」での育休取得は対象外。育児休業は「復帰すること」を前提とした制度。育休に入る時点で退職予定が明確になっている場合、そもそも育児休業の対象になりません。会社に育休を申請する時点で「復帰する意思があること」が必要です。

「結果として退職」になるのは別問題。一方、育休取得時には復帰する意思があったが、育休期間中の状況変化(保活失敗、家族の事情、健康問題等)で結果的に退職せざるを得なくなった場合、すでに受給した育児休業給付金の返還義務は原則ありません。

本記事では、後者の「結果として退職」のパターンを中心に整理します。

3. 受給要件(被保険者期間・休業中の就労ルール)

育児休業給付金を受給するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 雇用保険の被保険者であること
  • 育児休業開始日前2年間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上(または賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上)ある月が12ヶ月以上
  • 育児休業期間中、各支給単位期間(30日)に休業前賃金月額の80%未満の賃金しか支給されていないこと
  • 各支給単位期間中、就業した日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であること

💡 期間雇用者にも適用:契約社員・パートでも、上記の要件と「子が1歳6ヶ月になる前日まで雇用契約が継続する見込み」などの追加条件を満たせば対象になります。「正社員じゃないから無理」と諦めず、会社の人事に確認を。

4. 給付金額(休業前賃金の67%→50%)

期間 給付率
育児休業開始から180日目まで 休業前賃金の67%
181日目以降 休業前賃金の50%

具体例(休業前月給30万円のケース)

  • 休業開始〜180日目:30万円 × 67% = 月額20.1万円
  • 181日目以降:30万円 × 50% = 月額15万円
  • 子が1歳になるまで取得 → 累計約230万円程度

支給額には上限があり、令和の改定で上限額は変動します。

5. 「退職予定」と「結果として退職」の違い

育児休業給付金の受給可否を分けるポイントは、「育休に入る時点で退職意思があったか」です。

パターン 育児休業給付金
育休前から退職予定が確定 原則として受給不可
育休後の復帰意思はあったが、状況変化で結果的に退職 受給した分は返還義務なし
育休中に保育園に入れず、復帰を断念 受給した分は返還義務なし
育休復帰後すぐ(数日〜数週間)退職 すでに受給した分は返還義務なし(運用による)

⚠️ 虚偽の意思表示はNG。育休申請時に「復帰の意思がある」と表明することは、当然ながら真実であるべきです。「最初から辞めるつもりだが、給付金がもらえるから育休を取る」は本制度の趣旨に反します。実態が伴わない申請が後から発覚すると、返還を求められたり懲戒の対象になる可能性があります。

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6. 受給した分の返還義務はあるか

育児休業給付金を受給後に退職した場合、すでに受給した分の返還義務について整理します。

  • 育休開始時に復帰意思が真実であった場合 → 返還義務なし
  • 退職することが既定であったのに虚偽申告で受給した場合 → 不正受給として返還+ペナルティの対象
  • 育休途中で退職した場合、退職以後の期間は給付金支給対象外

退職を決めたら速やかに会社へ報告。育休中の退職が決まったら、速やかに会社の人事に伝えましょう。育児休業給付金は会社経由で申請する仕組みなので、退職以後の不要な給付申請を防ぐ意味でも重要です。

7. 出産手当金との関係

育児休業給付金と並んで、出産前後にもらえるのが出産手当金(健康保険から支給)。両者の関係を整理しておきましょう。

給付名 支給元 対象期間 給付率
出産手当金 健康保険 出産日前42日〜後56日 標準報酬月額の約2/3
育児休業給付金 雇用保険 産後休業終了〜原則1歳まで 休業前賃金の67%(180日後50%)

原則として両方を順番に受給。出産手当金の支給期間が終わった後に、育児休業給付金がスタートします。

8. 失業給付との連携(受給期間延長)

育児で退職した場合、失業給付の受給期間延長申請を行うことで、再就職活動を再開できるようになるまで失業給付の権利を保全できます。

  • 本来の受給期間は離職翌日から1年
  • 受給期間延長申請で、最大4年まで延長可能
  • 働けるようになった時点で延長を解除し、失業給付を受給開始
  • 申請期限:働けない期間が30日経過した翌日〜本来の受給期間最終日まで

💡 育児退職は「特定理由離職者」に該当する可能性:配偶者の転勤、子の保育所入所が困難など、やむを得ない事情による退職は「特定理由離職者」と認められる場合があります。給付制限なし・所定給付日数が長くなるなどのメリットがあるため、ハローワークでの説明時に詳細を伝えましょう。

9. よくある質問

Q: 育休中に「やっぱり辞めよう」と思ったら、すぐ退職届を出すべき?

育休中の退職は労働者の権利として認められていますが、会社との関係や引き継ぎを考慮して、まずは人事と相談するのが現実的です。退職時期によって、その時点までの育休給付金は受給できる場合が多いです。

Q: 育休復帰後、すぐ退職したらどうなる?

受給済みの育児休業給付金の返還は原則として求められません。ただし、復帰意思が形式的なものだった場合は、状況によっては問題視されることもあるため、復帰後の働き方は誠実に。

Q: 第二子妊娠で育休がそのまま産休に切替えになる場合は?

育休中に第二子の産休に入る場合、第二子の出産手当金・育児休業給付金がそれぞれ申請できます。連続して取得することで、長期的に育児に専念できる仕組みです。

Q: 育児休業給付金は申告必要?

育児休業給付金は非課税所得なので、所得税・住民税の課税対象になりません。年末調整・確定申告でも申告不要です。

10. 専門家への相談

育児休業給付金に関する不安は、早めに専門家に相談しましょう。

相談先 得意領域 費用
ハローワーク 育児休業給付金の受給資格・支給額の確認 無料
会社の人事部 育休申請・退職手続き 無料
社会保険労務士 個別ケースの整理・代理申請 事務所により異なる
退職給付金サポートサービス 育休給付+退職時の他制度の整理 サービスにより異なる

まとめ:育休は復帰前提だが、結果としての退職はOK

  • 育児休業給付金は180日目まで67%、それ以降50%を支給
  • 「育休に入る時点で退職予定」は対象外、復帰意思がある時点での申請が必須
  • 育休中の状況変化で結果的に退職になった場合、返還義務は原則なし
  • 退職時は失業給付の受給期間延長申請で権利保全
  • 育児を理由とした退職は特定理由離職者に該当する可能性

11. 育休からの退職、現実的なシナリオ別の整理

シナリオ①:保活失敗で復帰断念

育休中に保育園に入所できず、復帰が物理的に不可能になったケース。保育園不承諾通知書を入手し、ハローワークで「特定理由離職者」として失業給付を申請するのが王道。

シナリオ②:配偶者の転勤で退職

配偶者の転勤で通勤不可能な地域に転居するケース。これも「特定理由離職者」に該当する可能性が高く、給付制限なしで失業給付の受給が可能。

シナリオ③:子の健康問題で復帰困難

育休中に子の健康問題が判明し、長期的な看護が必要になったケース。医師の診断書等で状況を客観的に証明できれば、「特定理由離職者」として認定の可能性。

12. 失業給付の受給期間延長申請を必ず

育児を理由に退職した場合、失業給付の受給期間延長申請を必ず行いましょう。

  • 通常の受給期間は離職翌日から1年
  • 受給期間延長申請で最大4年まで延長可能
  • 子育てが落ち着いてから失業給付を受給できる
  • 申請期限:働けない期間が30日経過後〜本来の受給期間最終日

⚠️ 期限内の申請を忘れずに。受給期間延長申請を期限内に行わないと、失業給付の権利自体が消滅します。「いつか働けるようになったら」では手遅れ。退職直後に必ず申請を。

💡 育休からの退職、まずは「タイミング」:育休からの退職は「いつ」「どう伝えるか」のタイミングが重要です。育休復帰直前に伝えるのか、復帰してしばらく勤務してから伝えるのか、退職の理由・事情で選択肢は変わります。会社との関係を悪化させないことも、後の手続きをスムーズに進めるためには大切。人事との相談タイミングを慎重に。

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※ 本記事は一般的な解説であり、個別の受給可否・金額・手続きの判断を保証するものではありません。具体的な判断については、ハローワーク・年金事務所・税理士・社会保険労務士等の有資格専門家にご確認ください。記載内容は2026年6月時点の制度に基づきます。

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