1. 障害年金の金額を決める3つの要素
障害年金の金額は「人によって違う」とよく言われますが、決まり方には明確なルールがあります。ポイントは次の3つです。
- 加入していた年金制度:初診日に国民年金なら「障害基礎年金」、厚生年金なら「障害厚生年金」
- 障害の等級:1級・2級・3級(3級は厚生年金のみ)
- 家族の状況:18歳までの子、生計を共にする配偶者の有無で加算が変わる
つまり、同じ病気・同じ等級でも、会社員(厚生年金)か自営業・無職(国民年金)か、家族構成はどうかで、受け取る金額は大きく変わります。順番に見ていきましょう。
年金額は物価・賃金に応じて毎年度見直されます。本記事は2026年度(令和8年度)の額に基づいています。最新の正確な額は年金事務所でご確認ください。
2. 障害基礎年金の金額(1級・2級)
国民年金から支給される障害基礎年金は、等級ごとに金額が定額で決まっているのが特徴です。2026年度の金額は次のとおりです。
| 等級 | 年額(目安) | 月額(目安) |
|---|---|---|
| 1級 | 約106万円 | 約8.8万円 |
| 2級 | 約85万円 | 約7.1万円 |
1級は2級の1.25倍と覚えておくとよいでしょう。これに、18歳までの子がいる場合は後述の「子の加算」が上乗せされます。なお、障害基礎年金に3級はありません。
3. 障害厚生年金の金額(報酬比例+加算)
会社員など厚生年金に加入していた方は、障害基礎年金に相当する部分に加えて、給与に応じた「報酬比例の年金」が上乗せされます。計算の考え方は次のとおりです。
- 報酬比例の年金額 = 平均標準報酬額 × 一定の乗率 × 加入月数
- 加入月数が短くても最低300月(25年)保証で計算される
- 1級は報酬比例部分も1.25倍になる
たとえば平均的な年収の会社員が2級に該当した場合、障害基礎年金相当の約85万円に報酬比例分が加わり、年130〜180万円前後になるケースが多く見られます。年収が高く加入期間が長いほど、報酬比例分は大きくなります。
同じ2級でも、国民年金のみの方は約85万円、厚生年金加入中に初診日がある方はそこに報酬比例+配偶者加給が乗るため、年150万円を超えることも珍しくありません。初診日にどの年金に入っていたかが極めて重要です。
4. 3級・障害手当金の金額
3級は厚生年金だけにある等級で、報酬比例の年金が支給されます。報酬比例分が少ない場合でも、最低保障額(2026年度 約63.5万円/年・月約5.3万円)が支給されます。さらに軽い障害が残った場合に一時金として支払われる「障害手当金」もあります。
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受給額シミュレーションへ※ 結果は目安です。正確な金額は無料相談で確認できます。5. 子の加算・配偶者加給はいくら
家族がいる場合、次の加算が上乗せされます(2026年度の目安)。
| 加算の種類 | 金額(目安・年額) | 対象 |
|---|---|---|
| 子の加算(第1子・第2子) | 各 約24万円 | 障害基礎年金。18歳到達年度末までの子等 |
| 子の加算(第3子以降) | 各 約8万円 | 同上 |
| 配偶者加給 | 約24万円 | 障害厚生年金1・2級。生計維持する65歳未満の配偶者 |
たとえば子が2人いる方の障害基礎年金2級は、約85万円+約48万円=年約133万円になります。家族が多いほど受給額は増えます。
6. 遡及(さかのぼり)で受け取れる金額
障害年金は、要件を満たしていれば過去にさかのぼって最大5年分を一括で受け取れる場合があります(認定日請求)。たとえば2級の障害基礎年金で5年分さかのぼれた場合、約420万円がまとめて支払われる計算です。
さかのぼるには、過去のその時点で障害の状態にあったことを診断書・カルテ等で証明する必要があります。カルテの保存期間は5年が一般的なため、思い当たる方は早めの行動が金額を左右します。
7. 金額の早わかり一覧表
| ケース | 年額の目安 |
|---|---|
| 障害基礎年金 2級・子なし | 約85万円 |
| 障害基礎年金 1級・子なし | 約106万円 |
| 障害厚生年金 2級・単身(平均的年収) | 約130〜140万円 |
| 障害厚生年金 2級・配偶者+子2人 | 約200万円前後 |
| 障害厚生年金 3級(最低保障) | 約63.5万円 |
なお、障害年金は非課税です。同じ「年金」でも老齢年金は課税対象ですが、障害年金には税金がかかりません。
8. 自分の受給額を確かめるには
ここまで見たとおり、受給額は制度・等級・家族構成・年収で大きく変わります。「自分の場合はいくらか」「そもそも受給できるのか」を正確に知るには、要件の確認が欠かせません。申請は一度の診断書で結果が大きく変わる“一発勝負”の面があるため、見込みの段階で専門家に相談しておくと安心です。
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会社員(厚生年金)のAさんは、うつ病で休職に入りました。主治医に日常生活の支障を具体的に伝えて診断書を整え、障害厚生年金2級が認められました。配偶者と18歳までの子が1人いるため、報酬比例分に配偶者加給・子の加算が上乗せされ、受給額は年間約160万円に。さらに、症状が重かった過去の時点までさかのぼる「認定日請求」が認められ、約400万円がまとめて支給されました。
自営業(国民年金)のBさんは、慢性腎不全で人工透析を導入しました。人工透析は原則として2級に認定されるため、障害基礎年金2級・年約85万円を受給。障害年金は非課税のため、受け取った金額がそのまま生活費の支えになりました。会社員時代に初診日があれば障害厚生年金となり、さらに報酬比例分が上乗せされていた可能性があります。
※ 上記は制度のしくみを説明するための構成例です。実際の受給可否・等級・金額は、症状・初診日・保険料の納付状況などをもとに日本年金機構が判断します。
10. 受給額を左右する3つのポイント
同じ病気でも、受け取れる金額や可否は次の3点で変わります。申請前に押さえておきましょう。
- 初診日にどの年金に入っていたか:厚生年金なら報酬比例分が上乗せされ、3級も対象になります。初診日の特定と証明が出発点です。
- 診断書と申立書の精度:日常生活・就労の支障を、認定基準に沿って正確に伝えられるかで等級判定が変わります。
- さかのぼり(認定日請求)の可否:過去の障害の状態を証明できれば、最大5年分が一括で支給されます。カルテの保存期間に注意が必要です。
いずれも「自分で申請して軽い等級・不支給になり、後から専門家に依頼して見直したら結果が変わった」という事例が起きやすいポイントです。最初の一回を丁寧に準備することが、生涯にわたる受給額の差につながります。
11. よくあるご質問
Q. 働いていても障害年金はもらえますか?
A. 受け取れる可能性は十分にあります。障害年金は「働けるかどうか」だけでなく、日常生活や労働にどの程度の制限があるかを総合的に見て判断されます。特に障害厚生年金3級は、配慮を受けながら働いている方が受給している例も少なくありません。「働いているから無理」と諦める前に確認することをおすすめします。
Q. 年齢制限はありますか?
A. 障害年金は原則として20歳から65歳になるまでの間に初診日がある方が対象で、高齢者向けの制度ではありません。むしろ現役世代こそ対象になり得る制度です。20歳前に初診日がある場合は、20歳前傷病の障害基礎年金という別の枠組みで支給され、このときだけ本人の所得制限があります。
Q. 障害者手帳がないと申請できませんか?
A. 障害者手帳と障害年金はまったく別の制度です。手帳がなくても、初診日・保険料納付・障害の状態という年金側の要件を満たせば申請できます。手帳の等級と年金の等級も一致しません。手帳が軽くても年金で上位等級になることも、その逆もあります。
Q. 不支給になったら、もう受け取れないのですか?
A. いいえ。結果に納得できない場合は「審査請求」「再審査請求」という不服申立ての手続きがあり、状態が変わった場合は改めて請求し直すこともできます。不支給の理由を分析し、診断書や申立書を立て直して認められるケースもあります。
Q. 申請から受給までどのくらいかかりますか?
A. 書類が整ってから審査結果が出るまで、おおむね3ヶ月前後が目安です。診断書やカルテの取り寄せ、初診日の証明に時間がかかることもあるため、思い立ったら早めに準備を始めるのが安心です。
Q. 障害年金を受け取ると、税金や扶養に影響しますか?
A. 障害年金は非課税のため、所得税・住民税はかかりません。ただし世帯の状況によっては、配偶者の扶養や各種手当の判定に影響することがあります。気になる場合は申請前に確認しておくと安心です。
Q. 申請に費用はかかりますか?
A. 年金事務所での相談や申請自体に手数料はかかりません。診断書の作成料(医療機関により数千円〜)や、専門家に依頼する場合の報酬が主な費用です。多くの社会保険労務士は着手金+成功報酬制で、受給できなければ成功報酬がかからない料金体系を用意しています。
※ 本記事は一般的な解説であり、個別の受給可否・金額・手続きの判断を保証するものではありません。金額は2026年度(令和8年度)の制度に基づく目安です。具体的な判断は年金事務所・社会保険労務士等にご確認ください。